モノポリー

2005年6月7日
英語の教材の文章で、マイクロソフトの独占禁止法抵触について書かれたものがありました。

それで、昔、一つの革命的なOSが発売された時のことを思い出しました。

マックでも無く、ウィンドウズでも無い。

でも、アップル機でも、ウィンドウズ機でも、どちらでも動作する、夢の様なOS。
実はそんなのがありました。「BeOS」(ビーオーエスと発音します)というの。今でもちゃんとバージョンアップ重ねてます。

機種に依存しないというあたりでお気付きの方もいると思いますが、詰まるところUNIXの一種です。
実際、MacOS XもUNIXベースになったことだし、まぁ統一規格的な感じはしますね。
ちゃんとBeOS版のフォトショップとかもあったし、ストラタ3D何かも出てた気がする。

実は、BeOSが革命的だったという本質は、UNIXベースだったことではありません。世界で初めて「マルチタスク」に対応したことです。(世界初というのは商品化という観点からですが)
最近になってコンピュータを使い始めた人は当たり前の様に感じているかもしれませんが、十年くらい前のOSは「シングルタスク」が基本で、例えばファイルのコピー作業をしているとき、他のことが出来ませんでした。今はコピーしながら印刷しながらレンダリングしながらインターネット見ることだって出来ます。これは「疑似マルチタスク」と呼ばれる機能で、本来は複数のCPUが無いと出来ない作業を、単位時間毎に区切って分担させることで可能になった機能です。
これの非常に質の高いのを最初に作ったのが、BeOSだったわけです。

ゲームでもパソコンでも、デモ画面というのは常に注目を浴びるもので、BeOSもその辺はキッチリしてました。その中で一番見物だったのは、画面上で、3D空間の中に浮かんだ本があってユーザーはマウスを使ってその本のページをぺらりとめくることが出来る、といったものでした。(しかもページの上に写真を貼ることも出来ました)
シングルタスクOSでは絶対不可能な作業を、超高速に処理出来るOSとして、当時脚光を浴びたのでした。

何故こんな細かいことを知ってるかというと、今は無き"MACLIFE"に、BeOSのベータ版が付録についていて、それを実際にインストールしたことがあったからです。当時のOSは数十メガとか、まぁそれくらいの単位だったので、100MBのZIPドライブにBeをインストールして、マックで起動して遊んでいました。

このBeOSに関連して、昔、マックが開発を進めていたオソロシイOSがあります。そのOSのコードネームは"Rhapsody"。(今もマックOSには、TigerとかPantherとか、色々コードネームがついてますが)最終的には日の目を見ることなく潰れた計画です。

一言で言うならば

「ウィンドウズで起動するマック」

です。

実現して居れば、今のコンピュータ業界の世界市場の様子が変わっていたかもしれません。
当時のウィンドウズ市場ではバイオが大人気で、特に超薄型のノートパソコンはほぼ独壇場。対してマックのノートはとにかく重い。もはやラップトップというよりは「持ち運び可能なデスクトップ」くらいの位置づけでした。これがマックにとってシェアの低迷にかなり影響していたそうです。絶対的な力量は今も昔も、アップルコンピュータの方が遙かに高いにも関わらず、デザインと教育の現場でしかシェアを伸ばせなかったのは、中間機としてビジネスツールとしてのパソコンの位置を掴めなかったからです。文字さえ打てればいい、軽いに越したことはない、そんなパソコンのニーズというのは、アップルが想像していた以上に大きかったようです。

これがラプソディとどう繋がるかというと。つまり、ラプソディを発売してしまうと、アップルのノートパソコンを買う必要が無くなってしまう、ということです。

ラプソディの意図は、まずウィンドウズ機を乗っ取ることでマックOSのシェアを増やし、その波状効果でマック本体を買ってもらおうというものです。
ところが、マックは高い。ノートは重い。という定説の為に、マックOSが広がってその後、本当にアップル機にユーザーが帰ってくるのか、という確信が持てなかったのです。むしろどんどんアップル離れが進んでしまうのでは無いか。
それに拍車を掛ける恐れが強かったのがノートパソコン分野だったわけです。

そんなわけで、アップル社内の反対もあったらしく、ラプソディ計画は中止になりました。

んで、現在。その時の名残が、UNIXベースに生まれ変わったMacOS Xというわけです。何故かというと、BeOSのところでも書いたように、UNIXベースというのは機種依存性が無く、その気になればウィンドウズでMacOS Xを動作させることだって不可能では無いからです。もちろんアップルがUNIXベースを採用したのは他にも数えたらキリが無いアドバンテージがあるためで、直接は何の関係も無いと言えます。でもなんかやっぱり気になる…笑

もう一つ。先日アップルが発表した、CPU開発の転換。IBMチップを止め、インテルのチップを採用するとのこと。

ウィンドウズのペンティアムは周知の通りインテル製。

もしかして、ラプソディ計画、生きてるんじゃないか、と思わせる、ドキッとするニュースでした(笑)

英語の予習をしながら、こんなこと思い出してました。あぁ懐かしい。

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